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長くて多少難しい話です…興味のある方だけお付き合いください（*^_^*）

年末に従軍慰安婦問題を考えるひとつのメルクマールとして 「紛争ダイヤ」 について書いた。

そこで示したかったフレームワークは、人権思想や民主主義が定着していない国や地域、その指導者とどんな約束をしてもそれは極めて不完全なものだということ！だ。

従軍慰安婦問題への対応について、日本には補償も含めてきちんと対応すべきだという積極的対応派（以下、積極派）と、そんな話はもともと事実ではない、事実であったとしてもそれは既に解決済みだという消極的対応派（以下、消極派）の両派がいる。

僕は積極派だ。

消極派が拠るのは段階論法による以下の2つの論点。

1つ目は、日本が国家として在日朝鮮人の女性を慰安婦として強制的に戦地へ連行し働かせたというう事実はない、無論通常の戦争と同様戦地に慰安所はあったが、たとえそこに在日朝鮮人の女性がいたとしても、それは民間の業者が独自で調達した慰安婦をそこで働かせていたのであって、当然日本が国家としての関与した事実も証拠もない…というもの。

2つ目は、百歩譲って、日本が国家としての強制力を行使して在日朝鮮人の慰安婦を従軍させたという事実があったとしても、それに係る補償等の対応は１９６５年に締結された「日韓基本条約」において既に解決済みである…というもの。

という以上の2点である。

ここでは、2つ目の論点、日韓基本条約」において既に解決済みである、について検証したい。

日韓基本条約とは日本と韓国の間で締結された経済協力や国交正常化に関する条約であるが、簡単に言うと第二次世界大戦時に日本から被った韓国の被害ついて賠償することを決めた約束である。

その賠償総額は当時の11億ドルで、その内無償譲渡は3億ドル

この無償譲渡3億ドルを今の金額に換算すると、時代背景、為替レート、国家予算、外貨準備高 など当時の状況を勘案するとおそらく現在の10兆円くらいだと思う。

これを多いと見るか少ないと見るか？　感覚的だとしてもこれを多いと見る側は「こんなにたくさんやってあげたんだ」、少ないと見る側は「これじゃ申し訳ない」、となるのだが、いずれにせよここで持った各々の感覚については、いずれ説明するが、従軍慰安婦問題を考える上で重要な物差しとなるその感覚は憶えておいていただきたい。

話は少し横にそれたが、消極派が従軍慰安婦問題は既に解決済みであると主張するのは、日韓基本条約では賠償の他に「個別請求権の問題解決」と「個別請求権の放棄」という重要な約束を交わしているからである。

個別請求権の問題解決とは、日本に強制的に招集された軍人・軍属・労務者（それぞれに係る傷痍軍人、戦死したものの遺族を含む）への補償については日本が個別に行うのではなく、日本に代わり韓国政府が日本の賠償金の中から補償を行うことで個別補償の問題が解決したものとするという約束。

個別請求権の放棄とは、日本政府は個別保証も含めて韓国へ賠償を行い全ての問題は解決しているのだから、韓国政府は第二次世界大戦に係る被害について日韓基本条約締結以後一切の個別請求権を放棄するという約束。

確かに、「個別請求権の問題解決」と「個別請求権の放棄」の約束が交わされているという意味で、消極派が主張する全ての問題は「既に解決済みである」という主張は一見正しいように思われるが…

はたしてそうだろうか！？

このつづきは、次回（と言ってもいつになるのやら^^；）「日韓基本条約：その２」で紛争ダイヤのフレームワークを念頭に考えたい…