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2012年05月23日

バンナ公園 俵万智

震災の後、この石垣島に歌人の俵万智さんが移住してきていることはもう広く知られているが、彼女の作品になかなか触れることのない島民(ある意味僕もそうだが)にとっては、そのこと自体あまり興味のあることではないようだが…

3月の下旬、シカゴに住む山川先生からメールが送られてきて知った!…俵さんは、日本経済新聞の国際版で毎週「プロムナード」というコラムを連載していて(有料ですが電子版では購読できます)当然と言えばそうだが、石垣に移住後の身の回りの話題をテーマにして書いている。

そのコラムがとてもイイのだ!…取り扱われる話題が実際知っていることばかりで共感出来るからということもあるのだが、俵さんの視点からあらためて自分のいる場所や暮らし、日常を見つめ直すと嬉しい気持ちになるのだ…

ホントはいけないかもしれないが、日経新聞の国際版も電子版も読むことのない島民が圧倒的に多いはず!そんな島民に自分たちのいる場所、暮らしはこんなイイことがあるんだとあらためて知ってもらうため!!と言い訳して、連載の中でも僕の一番好きなコラムを転載しますね(^^♪

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プロムナード  ― バンナ公園 ― 2012.3.14付け

石垣島のほぼ中央にバンナ岳という山があり、そこにバンナ公園という広大な森林公園がある。展望台からはエメラルドグリーンの海や、近くの竹富島が眺められるし、南国の樹木が繁(しげ)る植物園や、水鳥の観察所もある。

去年の五月、ゴールデンウィーク。息子の同級生が、お父さんと行くからと言って誘ってくれた。到着するやいなや、あふれんばかりの緑のなか、子どもたちはアスレチックコーナーへ向かって駆け出した。複雑なジャングルジムや50メートル以上あるローラー式の滑り台、また巨大な滑り台(一見すると、スノボーの競技場みたいな感じ)など、遊具も充実している。息子は「すごい、ワイルドだね!」と目を輝かせ、飽きることなく汗を流していた。

その環境と設備にも感動したが、何よりも私が驚いたのは「人が少ない!」ということだ。仙台にいたころ、近くに「みちのく杜(もり)の湖畔公園」という、ほぼ同じくらいの規模の森林公園があった。息子は、そこが大好きだったが、とにかく混む。どの遊具にも、子どもたちがびっしりという感じ。休日などは、入場券売り場にも列ができていたし、そこへ至る道路がまず渋滞で大変だった。

だから誘ってもらったとき、ゴールデンウィークに森林公園と聞いて、私はそうとうの覚悟をした。が、道路は渋滞どころか、スイスイ。いざ入園しても、まったく閑散としていて拍子抜けするほどだ。朝、早めに行きましょう! と私が提案したこともあるのだが、十時くらいまでは、ジャングルジムも滑り台も貸し切り状態だった。パラダイスである。ちなみに入場料は、無料。都会で、並ぶことや混雑に慣れきっていた身には、まことに信じがたい光景だった。

そしてさらに、私をびっくりさせてくれたのは、同級生のお父さんだ。

「いいところですね~。素晴らしいですね。なんでこんなに空いているのかなあ」を繰り返す私に、彼は、ぽそっと言った。

「子どもが来たがるから連れてきたけど、ぼくはそれほど好きじゃないんですよ。こういう人工的なところは」

はい? 一瞬、耳を疑った。今なんとおっしゃいました? 「コウイウジンコウテキナトコロ」とな?

遊園地とかボウリング場ならわかるが、この環境をもってなお「人工的」と言う、その感覚に、なんというか私は深い感銘を受けた。確かに、公園は造成された場所だし、ジャングルジムも滑り台も、人工物ではある。

彼に言わせれば「みちのく杜の湖畔公園」も、思いきり人工的なところなのだろう。私たち、自然を満喫しに行っていたつもりなんだけどなあ。

身近に、あまりに自然があふれているので、あえて公園に緑を求めに来る人もいないのだろうか。この空き加減は、そうとしか考えられない。

帰り、息子と私を車で送ってくれたそのお父さん。うちのマンションの前の海で釣り糸を垂れ、みごとに大きな魚を釣り上げていった。とれたてだから刺身ですか? と聞くと「これは、ヘンな虫がいるかもしれないから、ばりっと揚げて骨まで食う」とのこと。うん、こういうのをワイルドって言うんだね。そういえばあれ以来、バンナ公園には行っていない。

(歌人)

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これを読んだとき涙が出るくらい嬉しくなった、胸にグット来た…

俵さんの視点であらためて自分自身を見つめ直すと「僕もまんざら悪くないじゃん!(何で横浜訛りば・・・)」なんて思えた(#^.^#)

俵万智さんありがとう…

最後に、俵さんが石垣に移住してきたあと角川の『短歌』去年の十二月号で発表されていた歌も少し紹介しますね…

・万緑の「バンナ公園」島人は「人工的なところ」と言えり

・九十を超えねば「天寿」と記されぬ沖縄タイムス死亡記事

・同い年の女に四人の孫あるを聞きつつ飲めり島の泡盛

・沖縄のヒーロー琉神マブヤーは敵を倒さず「許す」と言えり

…meza6

バンナ公園 俵万智





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Posted by meza6 at 18:13│Comments(2)思うこと
この記事へのコメント
わかる気がするな・・・

人間でもそうだよね

キレイなのは(オシャレや身だしなみ)素敵

でも自然に出来た、すっぴんの笑顔やしわも素敵☆


自然のモノは何というか

無敵というか

内面の自然のパワーはすごいんだよね



私も故郷のフランスに帰ろうかな・・・・・・・・・・・。
Posted by mino at 2012年05月25日 01:03
>mino 様

That' right!…自然のものはある意味ホンとに無敵ですよね…

ですが…故郷のフランスとはこれ如何に?(#^.^#)
Posted by meza6meza6 at 2012年05月26日 08:27
 
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